ドイツにはHナンバー制度(独:historisch)があり、クラシックカーの優遇措置だと皆さんはご存知でしょうか。
Hナンバー制度は実際にどのくらいの優遇をしてくれるのか気になっている方もいるかもしれません。
そこで本記事では、Hナンバー制度の内容・適用条件について詳しくお伝えしていきます。
この記事を読めば、日本と海外の自動車税事情について分かり、維持費を抑えることが大事なことが分かるでしょう。ぜひ読み進めてくださいね。
Contents
ドイツのHナンバー制度はクラシックカーにかかる自動車税を減税する
ドイツのHナンバー制度は、製造から30年以上経過しているクラシックカーの自動車税を優遇してくれる措置ですよ。
そもそも、ドイツの自動車税は年間100~600ユーロ(2022年11月時点の日本円:14,400~86,400円)かかっています。
Hナンバー制度を申請すると、条件に合う車両の税額が一律191ユーロ(約23,000円)になるんですよ。
Hナンバー制度が適用される車両の条件は、以下の3つあり、1つでも満たしていないと申請が通りません。
Hナンバー制度が適用される条件
- 生産されてから30年以上経過している
- オリジナルの状態が保たれている
- 走行に支障をきたす欠陥がないと判定された状態
あえてHナンバー制度を利用しない車両もある
「じゃあ、すべてのクラシックカーは一律191ユーロでお得なんだね」と思うかもしれませんが、中にはあえてHナンバー制度を利用しない車両もあるんですよ。
それは、低排気量・低車重な車であり、Hナンバー制度に申請する前よりも多くの税額を払ってしまうことになりかねません。
ドイツ市民の中には、排気量が小さく車重が軽い車を通常の自動車税のまま、所有するというケースも少なくないそうです。
Hナンバー制度のほかにも、ドイツではクラシックカーに優しいライセンスがありますよ。次の項目でお伝えしていきますね。
Hナンバー制度以外にも、シーズンごとに利用できるライセンスがある
ドイツにはHナンバー制度以外にも、クラシックカーを優遇した「シーズンライセンスプレート」の制度がありますよ。
シーズンライセンスプレートは、2~11か月間の登録が可能(※)であり、任意で設定が可能になっています。
そのため、「雨の少ない乾季だけ愛車を運転したいな」というときに、時期を選んで運転できるでしょう。
シーズンライセンスプレートは、自動車税が日割りで計算されるため、乗りたいときだけ税金を払えばいい点も、クラシックカーを所有する方には嬉しいですよね。
(※)出典:AutoBild-クラシックカーの証 自動車先進国ドイツにおけるHライセンスプレート その資格と仕組みとは? より
ドイツ以外にもHナンバー制度に似た優遇措置がある
ドイツ以外にも、Hナンバー・ライセンスプレート制度に似た優遇措置を行なっている国がありますよ。
イギリス
イギリスは、1973年1月1日以前に登録された車が自動車税無料になっていますよ。
また、2001年2月末日までに登録された車は、1549㏄未満で年額135ポンド、1549以上で年額220ポンドと一律料金になっています。
イタリア
イタリアでは、製造から20年以上経過した車両を「クラシックカー」として扱われていますよ。
そのため、製造から20年以上経過した車両は減税対象、30年以上で免除になるんです。
オランダ、スウェーデン
オランダやスウェーデンでは、製造から25年以上経過した車両は自動車税が免除になっていますよ。
東京都にもHナンバーに似た「ヴィンテージカー減免制度」を利用できる
「日本にも海外のHナンバーに似た制度がないの?」と気になった方もいるかもしれません。
実は、東京都にもHナンバーに似た「ヴィンテージカー減免制度」があることを知っていますか。
ヴィンテージカー減免制度は、クラシックカー所有時に毎年かかる自動車税の重課分を免税できるんです。
申請をすることで、製造から13年以上経過したときにかかる自動車税の重課分(+約15%)を免税できるでしょう。
海外の自動車税は、日本よりも約1.4~6倍安い
海外と日本の自動車税を比較すると、外国の方が約1.4~6倍安いことが分かりましたよ。
以下の表は、同じ車両価格・使用年数・排気量を元にした、年間の自動車税です。
日本と各国の自動車税比較(※1) | ||
日本 | 39,500円 | – |
イギリス | 約28,000円 | 約1.4倍安い |
ドイツ | 約17,000円 | 約2.4倍安い |
アメリカ | 約10,000円~(※2) | 約4倍安い |
フランス | 約7,000円(※3) | 約6倍安い |
(※1)車体価格130万円、9年間使用、排気量1800cc
(※2)毎年10,000~15,000円のナンバープレート発行手数料がかかる
(※3)2000年に自動車税廃止、代わりに車両登録料とCO2税がかかる
イギリスは消費税(付加価値税)が20%と税負担が高い国ですが、それでも日本よりも約1.4倍も自動車税が安いことが分かりますよね。
「車の維持費を何とか海外並みに抑えることはできないの?」と気になる方向けに、次の項目で、節約方法についてお伝えしていきますね。
クラシックカーの維持費を抑えて自動車税の負担を軽減しよう
「海外の維持費並みにどうにか節約する方法はないの?」と気になっている方もいるでしょう。
クラシックカーの維持費を抑える方法は以下の7つありますよ。
旧車の維持費節約方法7つ
- 自動車保険の見直し
- 駐車場の料金を見直す
- セルフメンテナンスをする
- 自宅のスペースを貸し出す
- 車両をシェアリングする
- ソーラーカーポートを導入する
- 定期的に専門店でメンテナンス
上記の7つの維持費節約方法を使えば、旧車にかかる費用を年間60万円以上抑えることができるでしょう。
ちょっとでも興味がある方は、以下の記事を見てみてくださいね。
ガレージで旧車を保管しているなら、「一時抹消登録」で自動車税を節約しよう
「そもそも、ガレージで旧車をしまっていて、あまり乗っていないな」という方は、「一時抹消登録」をして、自動車税を節約しましょう。
一時抹消登録は、車両の公道での走行が不可になりますが、毎年納付していた自動車税の支払いをストップできるんですよ。
再度申請することで、また公道での走行が可能になり、自動車税の支払いが再開します。
一時抹消登録は運輸局にて、以下の7つを提出する必要がありますよ。参考にしてくださいね。
- 自動車検査証
- ナンバープレート
- 申請書
- 手数料納付書(検査登録印紙350円)
- 印鑑証明書
- 委任状
- 自動車税申告書
【まとめ】旧車の維持費を抑えて長く乗り続けよう
今回は、Hナンバー制度の内容・適用条件や、旧車の維持費を抑える方法についてお伝えしてきました。
日本のクラシックカーに対する税負担や重課は、海外よりも大きいと感じるかもしれません。
ですが、旧車の維持費を抑える方法を利用すれば、海外の維持費以上にお得な金額になるはずです。
ぜひ今回紹介した、旧車の維持費を抑える方法を利用して、長く楽しく乗り続けてみてくださいね。