固定資産税は、土地や家屋にかかる税金で、収益に関わらず毎年一定額が徴収されます。
駐車場にも固定資産税がかかるため、駐車場経営をしている方は少しでも駐車場の空きスペースを埋めておきたいと考えることでしょう。
この記事では、駐車場にかかる固定資産税と節税方法を紹介します。さらに、駐車場経営のメリットや経営の際のポイントを解説しています。
固定資産税は必ず支払わなければならない税金です。どれくらい駐車場に固定資産税がかかるか知り、節税や土地活用に取り組んでみましょう。
Contents
駐車場の固定資産税はいくらかかる?
駐車場運営する際は、以下の2点を覚えておきましょう。
- 駐車場の固定資産税は、住宅用より6倍高い
- 駐車場の設備にも固定資産税がかかる
駐車場の固定資産税は、駐車場の設備に対して課税され、住宅用の固定資産税よりも6倍の税金を納めなければなりません。
それぞれの理由を次から、解説していきます。
駐車場の固定資産税は住宅用より6倍高い
固定資産税は、家屋でも駐車場でもかかります。しかし、駐車場の固定資産税は家屋より6倍課税されます。
住宅用の土地は固定資産税の軽減措置が受けられ、駐車場は該当しないためです。現在家屋が建っており、取り壊して駐車場経営をしようと考えている方は、固定資産税がこれまでよりかかることを考慮しましょう。
駐車場の設備にも固定資産税がかかる
駐車場経営をする際は、駐車場の設備にも固定資産税がかかることを知っておく必要があります。
以下のようなものが、駐車場の設備に当たります。
- アスファルト舗装
- フェンス
- ロック版
- 精算機
- センサー式停車機
他にも、駐車場に設置した照明なども課税対象です。駐車場の契約者を増やしたり快適に使ってもらったりするために、ある程度の設備が必要になり、その分課税対象が増えると考えられます。
駐車場の種類によって固定資産税はいくらか異なる
駐車場経営とひと口に言っても、駐車場の種類によって固定資産税は異なります。駐車場経営で代表的なものは、月極駐車場と時間貸しのコインパーキングの2種類です。
月極駐車場は整地する必要がなく、ロープで駐車スペースが確保されていれば、駐車場として運営することも可能です。そのため、設備にかかる固定資産税はないと言えるでしょう。
対して、コインパーキングはロック版や精算機の設置のためにアスファルトにする必要があり、それぞれの設備に対して課税されます。
このように、同じ駐車場経営でも運営方法によっては、固定資産税の金額が増額したり初期費用がかかったりすることも忘れないようにしましょう。
駐車場の固定資産税以外の税金はいくらか
地域によっては、固定資産税のほかに都市計画税がかかる場合があります。都市計画税は、都市開発や土地区画事業(主に、道路の整備)に使用することを目的にしている税金です。
都市計画税は、固定資産税とあわせて納付することになっています。支払いが必要な地域かどうかは、駐車場のある市区町村で確認しておきましょう。
都市計画税の計算方法は、課税評価額×0.3です。都市計画税は、地域によって変動しますが、最高税率は0.3%と決められています。
固定資産税の課税評価額とは、駐車場の場合、一般的に時価の約70%に決められています。課税評価額は市町村によって異なり、固定資産税の納税通知書で評価額の確認が可能です。
駐車場の固定資産税はいくらになるか計算する方法
駐車場の固定資産税と、駐車場の設備にかかる償却資産税の計算方法を紹介します。
駐車場にかかる固定資産税
駐車場の固定資産税は、固定資産評価額×1.4%(標準税率)です。1.4%は標準税率のため、地域によって税率が変わります。計算の際は注意しましょう。
さらに、駐車場の固定資産税評価額は、納税書で確認できます。また、固定資産税評価額は、土地面積と道路に面している土地㎡当たりの価格(路線価)が必要です。
あらかじめ土地の広さを調べておかないと計算ができません。土地の広さが不明な方は、登記登録の情報で確認しておきましょう。
駐車場の設備にかかる固定資産税
駐車場の設備にかかる固定資産税の計算方法は、償却資産税評価額×1.4%です。多くは税率1.4%ですが、異なる市区町村もあります。
償却資産税評価額は、設備の価値を表したもので、年月が経つほど割合が下がります。
初めは取得費用の70~80%程度ですが、最低5%まで減少します。設備取得費用の5%を下回ることはありません。
駐車場の固定資産税を減らす方法
ここで「駐車場の固定資産税を減らす方法はないの?」と考える方もいるかもしれません。駐車場の固定資産税は、土地や設備の評価が高いとその分税率も上がります。
少しでも節税するためには、以下のような方法がありますよ。
- 土地と建物を一体利用する
- アスファルトで舗装する
- アパート経営に変更する
- 一括償却資産として計上する
次から解説していきます。
土地と建物一体利用
土地と建物を一体利用すれば、軽減措置を受けられます。土地の広さの600㎡までなら固定資産税を6分の1まで減らせるでしょう。
アスファルトで舗装する
駐車場として活用したい場合は、地面を舗装することで減税することも可能です。土地の広さ200㎡から、固定資産評価額を50%減らせるでしょう。
アパート経営に変更する
建物があれば、軽減措置が受けられるため、固定資産税が減らせます。しかし、アパート経営は、空室リスクやさまざまな経費が考えられるため、節税以上の出費が必要になる場合があります。
一括償却資産にする
一括償却資産とは、取得価格が20万円未満のものに適用されます。一括償却資産として3年間で均等償却できる、一定の固定資産のことです。
一般的な設備にかかる償却資産税は、一括償却資産にすると課税対象外になるため納付税額が抑えられるでしょう。
駐車場の固定資産税がいくらか確認するには
駐車場の固定資産税は、固定資産税評価額によって異なります。固定資産税評価額は、3年に1度自治体によって決められています。
支払うべき固定資産税がいくらか知りたい場合は、1月1日に不動産を所有している方を対象に送付される「固定資産税通知書」で確認してください。
万が一、納税通知書が見つからないときは、駐車場がある地域の自治体で再発行することも可能です。
また、固定資産税は「固定資産税課税台帳」で、確認することも可能です。納税通知書の再発行や固定資産税課税台帳の閲覧は、納税義務者や土地の所有者しかできません。
手数料も必要なため、希望の際は近くの市区町村であらかじめ確認しておきましょう。
固定資産税の納付はどこですればいい?
固定資産税の納付は、以下の7つの方法があります。毎年、4月~5月頃に固定資産税の納付書が自宅に届きます。
- 市区町村の窓口
- 金融機関
- コンビニ
- 口座振替
- スマホ決済
- クレジットカード
- 電子マネー
支払い方法と、注意点を以下の表にまとめました。
市区町村の窓口 |
・現金支払いができる ・手数料がかからない |
金融機関 |
・取り扱い金融機関は自治体による ・手数料がかかる ・ペイジーマークがある納付書ならATMの支払いも可能 |
コンビニ |
・バーコードが付いている支払い用紙の使用が可能 ・支払い金額の上限がある |
口座振替 |
・自動引き落としが可能 ・支払いに行かなくても良い |
スマホ決済 |
・バーコードが付いている支払い用紙の使用が可能 ・支払い金額の上限がある ・自治体によっては取り扱いをしていない ・ポイントが貯まる場合があるため、ポイント分お得になる |
クレジットカード |
・市区町村の窓口や金融機関 ・コンビニでは使用できない ・手数料がかかる場合がある ・ポイントを集めている方は、ポイント分お得になる |
電子マネー |
・バーコードが付いている支払い用紙の使用が可能 ・支払い金額の上限がある ・自治体によっては取り扱いをしていない ・ポイントが貯まる場合があるため、ポイント分お得になる |
コンビニや電子マネー・スマホ決済をしたい場合は、自治体によっては取り扱いをしていない場合があるため、使用したいと考えている方は、一度問い合わせをしてくださいね。
また、支払い金額の上限が30万円と決められています。支払い用紙にバーコードが付いていないものは使用できませんので、注意が必要です。
駐車場の経営をうまく行うポイント
駐車場経営は、駅やレジャー施設から近いなど、立地条件に大きく左右されます。駐車場そのものや、周囲の道路が狭いなど、利用しにくい駐車場では利用者が離れてしまうでしょう。
また、駐車場経営を助けてくれる管理会社選びも大切です。選び方を間違えてしまうと、契約状況や管理が行き届かず、利用者が減ることもあります。
さらに、駐車場料金が周辺の相場から外れていることも、うまくいかない原因の一つです。
このように、駐車場経営をする際は、立地条件や周囲の駐車場の利用状況をみて始めると良いでしょう。近くに不動産会社があれば、相談してみても良いかもしれません。
管理会社を選ぶことも駐車場経営をするうえで重要なポイントです。必ず複数の会社と話し合い、清掃やトラブル対策など管理範囲と費用を比較するようにしましょう。
駐車場経営をする2つのメリット
駐車場経営のメリットは、以下の2点です。
- 初期費用がかからない
- 狭い土地でも活用しやすい
駐車場経営は、初期費用がかからないことがメリットの一つです。駐車場経営とひと口に言っても、コインパーキングの経営は、駐車場の整備や精算機などの設備費用がかかるでしょう。
しかし、アパート経営と比較すると初期費用がかからないため、初心者の方でも始めやすい土地活用方法です。
ただし、固定資産税は宅地付きの土地よりも高くなるため、固定資産税がどのくらい必要になるか確かめておきましょう。
駐車場経営は狭い土地でも始められます。広いスペースがあるなら企業に貸し出しするなど、他の活用方法も考えられます。
近年、人気のある駐車場シェアリングサービスを利用すれば、駐車場を使わない時間帯だけ、貸し出すことも可能です。
【まとめ】駐車場経営をする前に、固定資産税がいくらかかるか計算しておこう
この記事では、駐車場にかかる固定資産税について紹介しました。駐車場にかかる固定資産税は、住宅にかかる固定資産税の6倍課税されます。
また、駐車場の設備にも税金がかかるため、駐車場運営をする際は、どのくらいの費用が必要か確認することが大切です。
少しでも固定資産税を減らすためには、アパートを建設するなど建物と一体化させるか、一括償却資産にすると良いでしょう。
住宅よりも課税されますが、初期費用をあまりかけずに始められる土地活用方法です。また、駐車場シェアリングサービスを利用すれば、時間単位で収入を得ることも可能です。
あらかじめ固定資産税がどれくらいかかるか調べておき、収益の出る駐車場運営ができるように考えておきましょう。